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精魂込めて、藍瓶の表面に浮く「藍の華」と向き合う日々

まるで我が子を育むように、体調を察して「藍」のご機嫌をうかがう

昨夜は機嫌の良かった藍が、朝になると元気がない。気温や温度によってにわかに変調を来す藍は、赤ちゃんのようにデリケートで、まさに生き物のようです。「笠間藍染」の始まりは江戸時代。

冬の農閑期に農家の人が自分で使うものを染めるようになり、最盛期には奈良県内に25~6軒、室生村にも4~5軒の工房がありました。しかし、化学染料の普及により藍染めは減少し、伝統的な製法を守っているのは奈良県内で1軒のみです。

伝統工芸士だった先代の義父について2年間修業をし、平成16年から「笠間藍染」の後継者になった井上加代さん。以来、夫の助けも借りながら130年以上続く紺屋の暖簾を守っています。

2012年、伝統工芸品「笠間藍染の職人」として県から指定

「子どもを育てるみたいな感じ、というのでしょうか。義父は生前『瓶の菌を殺してしまったら、大和の藍染めの伝統は途絶えてしまう』と使命感を持ちながらも、女性にこの仕事はしんどいやろうと気にかけてくれていました」と加代さん。

県内ただ1人の伝承者として4代目を継ぐ重責から、猛暑日が続くと夜中も瓶(かめ)が気になって寝付けないのだそう。「藍が弱ってないだろうか」と瓶をのぞきに行き、安否を確かめてからようやく床に就く毎日。

藍はまた寒さにも弱く、冬場は昼夜を問わず炭火で瓶を温め続けて適温を維持しなければなりません。それゆえ、紅葉が始まり桜が散るまでの5ヶ月近くは、1日たりとも家を留守できないそうです。

「職人なんてまだまだ恥ずかしい」とその姿勢はあくまでも謙虚

染めの原液を仕込む要の「藍建(あいだて)」では、深さ1mの瓶にすっぽりと入って熱湯をかけたスクモを足で踏み込みます。濃紺に染めるには、染料を含んだ重い生地を瓶から出して絞って、また染めてを20回近く繰り返したあと、ようやく天日にさらすことができます。

「これならお客さんにも喜んでもらえるかなと思える色に仕上がると、一番嬉しいですね。滅多にないんですけれども」。加代さんに恩返しをするかのように、藍はまれに冴え冴えとした色を出して応えてくれることもあるのだそう。藍の良さは手に取ってこそ分かるので、藍染めの生地に一度触れてみてください。

INFORMATION

笠間藍染(かさまあいぞめ)ストール
住所
奈良県宇陀市室生下笠間620
入場料
藍染め体験:工房でハンカチの藍染め体験も受け付けている(10人以内、体験料込み1人1,500円。要事前電話予約)。
お問い合わせ
0745-92-3607

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