
「自らの手でモノに命を吹き込みたい」と語る椅子張り職人・中田真太郎
2014年、奈良に彗星のごとく現れた椅子張り・修理とオリジナル家具の店『naice』。「機械による生産が主流の現代だからこそアナログ。こだわりを持ちながら椅子や家具と向き合い続けたい」と語るオーナーの中田さん。使えなくなった椅子の修理やファブリックの張り替えでは、「ここを今より厚くしようなど、私自身の個性も加えながら、より綺麗に仕上げることを徹底している」という。時に臨機応変な対応を求められるものの、 「全ての工程に手間と時間を惜しまず、一切手を抜かない」という信念は揺るぐことはありません。アトリエでは、彼の手によって何脚もの椅子が息を吹き返し、本来の形を越える椅子が新たに生み出されています。

50年、100年後 アンティーク家具になれるモノを作りたい
優れた椅子の修復に携わってきたからこそ、培われた椅子づくりの技術を活かし、オリジナルの椅子を製作している中田さん。「バネを糸で繋げ、詰め物を詰め、アウトラインを組み立てて椅子を形作っていくんですよ」との言葉どおり、椅子作りの工程は数多く、中でも、形や座り心地を左右するクッション部分の詰め物を詰めて糸を縛っていく工程は感覚との戦いのため非常に難しいそうです。「私にとってどんなに大変だと感じることでも、好きだからこそ、自分が納得するまで楽しめるんです」と、その言葉には一点の曇りもありません。

若い世代に知ってほしい椅子作りのおもしろさ。伝えたいモノづくりへの想い
椅子作りの魅力は、「椅子作りはデザインが無限。そして終わりがないところ」と語る中田さん。奈良県内の椅子張り職人は、数少ないと言われています。「これからは“人を育てる”ことも視野に入れて、若い世代や椅子作りに興味を持った人たちが学べる空間を作っていきたいです」。これからの目標は、地域に対する熱い想いを“カタチ”にしていくこと。中田さんの今後の活動から、ますます目が離せません。

INFORMATION
- naice~the upholstery shop~
- 時間
- 9:00 - 18:00 (要予約)
- 住所
- 奈良市南魚屋町20-3
- お問い合わせ
- 0742-31-2623